あらすじ
──誰でもよかった。それが「神」と呼ばれる存在の、まごうことなき想いだった。
空に浮かぶ町では、毎年聖夜に12歳から18歳の少女の中から「聖女」が選ばれる。選ばれた聖女は命を捧げ、町をアビスから救うためのエーテルとなる。少女たちは誰もが聖女になることを願い、選ばれることを夢見ていた。
栗色の髪の少女マリーは、幼い頃に姉のように慕っていたセレナが聖女に選ばれた夜を忘れられない。あの日、セレナは光に包まれ白銀の髪に変わった直後、涙を流していた。その理由を、マリーは知りたかった。
16歳の聖夜、マリーは白銀の髪に変わる光を浴び、聖女に選ばれる。儀式までのわずか一週間、セレナから託された一冊の絵本がすべてを変える。その絵本は、誰も知らない「聖女が生き延びる」道を示していた。アビスに落ちゆく町を見上げながら、光へと旅立つ聖女の姿が描かれていたのだ。古書店で出会った黒髪の幼女アナと謎の男ロイドは、マリーに別の選択を突きつける。聖女が生き延びれば町はアビスに沈み、逃げればマリーだけが助かるという。マリーが密かに想いを寄せる少年アッシュは、マリーに「生きてほしい」と必死に説得する。アッシュの言葉は、マリーの心を激しく揺さぶった。
マリーの胸には、セレナの涙の意味、アッシュへの想い、親友ユフィの気持ち、そして町の未来が交錯する。聖女として命を捧げ町を救うか、愛する人のために生きるか──16歳の少女は、究極の選択を迫られる。
マリーはアッシュの前で、想いを綴った手紙を破り捨てた。聖女として儀式に臨み、命を失う。町は救われ、日常が続く。アッシュは、聖女に選ばれた少女を見るたびに悲しみを抱きながらも、マリーが繋いでくれた命で生きていくことを誓う。
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