あらすじ
「ちゃんと言って……きい、好きだ、って……」
「き、きい……」
「……好きだ」
「す、好きだ」
紀依は嬉しそうにまた顔を本田の飛行服に埋めた。
「……私も、しろさんのこと、好き」
◆◆
昭和二十年三月十日――東京の東半分が燃え尽きた、東京大空襲の翌日。
卒業を間近に控えた高等女学校五年生の門倉紀依は、親友を見舞った病院で運命の再会を果たす。
それは一ヶ月前、多摩川でグラマンに襲われた自分を救ってくれた、陸軍の戦闘機パイロット。
撃墜王・本田史郎、二十歳。
「あの時の日本の戦闘機の!」
「多摩川でグラマンに追われてた!?」
三式戦闘機、飛燕に描かれた二十六個の撃墜マーク。
少年飛行兵たちが尊敬の眼差しを向ける凄腕のエース。
けれど、本田の表情はなぜか苦しげで――
紀依は、本田の所属する飛行第百九十一戦隊の赤羽飛行場に通い詰めるようになる。差し入れを持ち込み、飛行服を繕い、特攻志願に怒りをぶつけ……少しずつ縮まっていく本田との距離。
そして月明かりの飛行場で、初めて重なり合う二人のシルエット。
束の間の、幸福な時間。
だが、本田の胸の内には深い苦悩があった。
撃墜王の手に刻まれた、戦いの重さ。
二十六の星が示すもの。それは栄光か、それとも――
これは、太平洋戦争最後の春に芽生えた、一組の男女の物語。
史実を織り交ぜた本格航空戦と、戦時下の切ない青春恋愛譚。
・史実ベースの迫力ある航空戦
・切なくて甘いラブストーリー
・泣ける展開多め
・ハッピーエンド予定
※太平洋戦争末期(昭和二十年)を舞台としています
※航空戦闘描写、空襲場面を含みます