あらすじ

駅前の喧騒を逃れ、雨宿りのために飛び込んだ喫茶店。 そこで僕を待っていたのは、琥珀色の静寂と――白いエプロンをきゅっと締めた、クラスメイトの紗凪だった。 ​学校ではいつも窓の外を眺めている、おっとりとしていてどこか遠い存在の彼女。 けれど、カウンターの向こうでコーヒーを淹れる彼女は、凛とした「看板娘」の顔をしていた。 ​「こちらの席へどうぞ、お客様。ふふ、悠真君が来てくれて、なんだか嬉しいな」 ​店内の賑やかさが遠のく、一番奥のボックス席。 メニューにない特別なココアと、彼女がそっと耳元で囁く内緒話。 ​「ねえ、悠真君。私のエプロン……紐が解けちゃったみたい。直して、くれる?」 ​差し出された無防備な背中。指先に伝わる微かな体温。 すぐ側には他のお客さんの声が聞こえるのに、僕たちの間には、二人だけの甘い熱が満ちていく。 ​雨が上がるまで、あるいは彼女が満足するまで。 僕は、この琥珀色の迷宮から抜け出せそうにない。

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カクヨム
カクヨム2026/04/08
  • 現在の作品雨宿りの喫茶店。看板娘の隠し味は、二人きりの内緒話