あらすじ
王国騎士団の師団長試験に合格したクラウスは、
王城で開かれた祝賀会に出席していた。
不器用な彼を支えてきた同期の魔導士リディアは、
人々の輪の中でそっと手を差し出す。
「踊ろう、クラウス」
ぎこちないステップ。
揺れる魔法灯の光。
温かい手のひら。
ようやく掴んだ未来の気配。
――その瞬間、光が弾けた。
祝賀会は正体不明の魔力の襲撃に呑まれ、
クラウスの視界は白く染まる。
そして気づいたとき、
彼の手には“リディアの手だけ”が残っていた。
まだ温かい。
さっきまで隣にいた証のように。
世界が崩れていく中、
クラウスはその温度が消えていくのを、ただ見つめるしかなかった。