あらすじ
【あらすじ】
紫陽花が咲く六月、幼なじみは白い夢の向こうへ行きかけた。
見えてしまう少女・Nは、百の祈りで彼女を呼び戻す。
怪異と奇跡、そしてまだ名前のつかない恋を描く、梅雨の青春幻想譚。
登場人物紹介
N(エヌ)
本作の主人公。高校一年生。
長身で中性的、運動神経がよく、子供の頃から護身術の道場に通っている。
家系的に“見えてしまう”体質を持ち、物や場所に残った感情を読み取ったり、ときに他人の夢や死者の気配に触れてしまう。
冷静で強く見える一方、他人の痛みを真正面から引き受けてしまう不器用な優しさの持ち主。幼なじみのビーをとても大切に思っているが、それが恋だとはまだ自覚していない。ビーのスキンシップに毎回うろたえる。
ビー(Bea)
Nの幼なじみで親友。日英ハーフの美少女。
深い色のブロンドと緑の瞳を持ち、穏やかでやわらかな雰囲気をまとっている。
先天性の病気のため十五歳の夏に大きな手術を受け、回復の途中にある。
怪異は見えないが、Nが危うくなる瞬間だけは誰より敏感に察する。Nに恋をしており、抱きついたり額や頬にキスをしたりと、かなり積極的。Nにとっての「帰る場所」であると同時に、Nを現実へ引き戻す存在。
タクト
Nの同い年の従兄弟。
怪異の世界とは距離のある“現実側”の人間だが、Nの無茶や限界を見逃さない頼れる存在。
言葉は少し雑だが面倒見がよく、異常のなかでも日常の感覚を保ってくれる。Nにとっては、気を張らずに弱さを見せられる数少ない相手。
タケ
Nとタクトの祖母。
一族の女性の中でも特に力が強く、怪異や土地の気に通じている。
Nの特異体質をよく理解しており、危うい時にはさりげなく手を差し伸べる。
厳しさと愛情を併せ持つ、家の要のような存在。
カナ
Nの高校の同級生で、新聞部のエース。
軽口と行動力の塊だが、その裏では鋭い観察眼と情報収集力を持つ切れ者。
怪異そのものを見る力はないが、“噂”や“違和感”の裏にある共通点を嗅ぎ取るのがうまい。
本作ではNの日常側のクラスメイトとして、彼女の異変にいち早く気づく。
スチュアート
ビーの父。英国文学者。
紅茶と英国式ジョークをこよなく愛する、穏やかで誠実な英国紳士。
理性を重んじる研究者でありながら、説明のつかない現象にも頭ごなしに否定しない柔らかさを持つ。
Nとビーの気持ちにうすうす気づいており、Nを昔から「娘のナイト」と呼んでからかう。