あらすじ
週末の夜、とある飲み屋。会社の飲み会。
仕事終わりのサラリーマンたちで店内は熱気と酒の匂いに満ちていた。笑い声やグラスの触れ合う音があちこちで重なり、店内に響く。
始まってからしばらく経ち、同僚たちはそれぞれ「明日が早い」「終電が……」などと理由をつけて、ぽつりぽつりと財布から札を取り出して席を立っていく。そうして、気づけばテーブルには二人だけが残った。
「先輩、僕らもそろそろ帰りましょうよ」
後輩がそう言って、ぐでんと椅子にもたれかかる先輩の顔を覗き込んだ。
「なーに言ってんだよお、まだまだこれからだろお? おーん、おー」
先輩は真っ赤な顔でへらへら笑い、テーブルを揺すった。グラスの中の酒が小さく波打った。
「ほら、もう十分酔ってるじゃないですか。これ以上飲んだら、また歩けなくなりますよ。もう介抱するの嫌なんですよ」
「嫌って、お前なあ……へへへ、先輩だぞお!」
「ほらあ、いつもと全然違うじゃないですか。この先輩、ほんと嫌いなんですよ」
「嫌い!? お前、今、嫌いって言ったな! これは問題ですよ。尾を引きますよお」