あらすじ
失恋のあと、何もする気になれず、ただ時間だけが過ぎていく。
薄暗い部屋で一日を過ごした夜、気分を変えようと外に出た私は、家の近くの川沿いを歩いていた。
街灯に照らされた桜並木。静かな夜。
その帰り道で、私は一匹の犬と出会う。
少し汚れたその犬は、どこか自分と似ている気がした。
思わず声をかけるけれど、今の私には、その小さな命を受け入れる余裕なんてない。
けれど家に戻っても、頭から離れないのは、あの犬の静かな瞳。
――このままじゃ、だめな気がした。
再び夜の道を歩き出したとき、同じ場所で待っていたその存在に、私はもう一度向き合う。
ひとりで歩いていたはずの夜が、少しずつ変わっていく。
これは、ひとつの別れのあとに訪れた、小さな出会いの物語。