あらすじ

彼女に救われ、彼女と別れて、それから二年の月日が流れた。 償いのために死を選ぶつもりが、償いのために人を救えと言われて、言われるがままに生をとって。 どちらが楽だったのか考える間もなく駆けずり回って、時には石を投げられながらもそれでも足掻き続けた。 そうして今、あの日自分にあんな大罪を背負わせた組織の基地に仲間達と共に踏み込んでいる。 ここで全てを終わらせるのだ、もう二度とあんな悲劇は繰り返さない。 これを止めたら全てが許されるだなんて思わない。それでも、止めなければならないのだ。 そんな思いで足を踏み入れた基地の一室、仲間達が知るこの組織の幹部の青年の部屋だというそこには異様な空間が広がっていた。 部屋の奥の端に、大きな檻が置いてある。 そこに閉じ込められているのは魔物や獣の類ではない、人間だ。 その人間は、あの日自分を助けてくれたひとだった。 蜘蛛の糸を千切り続けるような人生をおくってきたと笑いながら話していた、自分のようなどうしようもない罪人に別に逃げてもいいと、これ以上不幸になってほしくないと言ってくれたひとだった。 そのひとの全体像がやたらと白っぽく見えて、何故だろうとその理由に気づいた瞬間、ゾッとした。 彼女は、何も身に纏っていなかった。 裸の白い肌にはいくつもの痣と、乾いた血の色が。 ここで彼女がどんな目にあっていたのか、その答えは簡単に思いつきそうだったけどこれ以上考えたくない。 白い身体は動かない、開きっぱなしの目は虚ろで、こちらの存在に気付いた様子もない。 隣で片目が潰れた女が息を詰まらせる、すぐ横を自分よりも少し年上の彼がすっ飛ぶように通り過ぎて、自分が知らない誰かの名前を叫んだ。 檻の中の彼女は、動かない。 病的に青白い肌をさらしたまま、動かない。 生きているのか死んでいるのか、それを確認する前に視界が真っ黒に染まる。 誰のものかわからない悲鳴がどこかから聞こえた、何故か喉が酷く痛んだ。

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小説を読もう2026/04/08
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