あらすじ
泣くことも、笑うことも、怒ることすら許されなかった。
公爵令嬢のクロエは感情が高ぶると雨を降らせる体質だった。
晴天を愛する祖国においてそれは商売の邪魔になる忌まわしい欠点だ。
彼女は陰気な雨女と蔑まれ続け、ついに婚約者から国外追放を言い渡される。
これからは我慢せずに美味しいものを食べて自由に生きたい。
その一心でたどり着いたのは干ばつで枯れ果てた隣国だった。
苦しむ人々の姿に思わずこぼした同情の涙。
それが大地を潤す奇跡の慈雨となって降り注ぐ。
欠点だと信じていた魔法は異国で豊穣の恵みとして歓迎された。
泥だらけの優しい人々に出会い、彼女は少しずつ心を開いていく。
ずっと押し殺してきた感情を取り戻したとき。
彼女の降らせる雨は、果たしてどんな空を映し出すのだろうか。