あらすじ

2026年。通信機器開発の最前線にいた榊恒一は、試験中の事故により、1941年の日本へと放り出された。 彼の中に残っていたのは、未来の知識を思わせる、得体の知れない“声”だけだった。 現代の回路設計など、この時代には何の役にも立たない。 あるのは巨大な真空管と、精度の甘いコイル、そして「精神論」が蔓延する縦割りの組織だけだ。 しかし、榊は確信していた。 日本が敗れる真の理由は、戦艦の数でも兵器のスペックでもない。 壊滅的な兵站、ばらばらな規格、情報を軽視した組織構造……その「敗北の種」は、開戦を待たずして既に芽吹いている。 榊は一介の民間技術者として現場に潜り込み、やがて軍と工場を繋ぐ「調整役」として走り始める。 彼が作るのは、一発逆転の超兵器ではない。 真空管ひとつ、無線機一台の精度を底上げし、情報の伝達系統を組み直すこと。 これは、未来の技術者が真空管の限界に挑み、敗戦への分岐点を一つずつ潰していく孤独な戦いの記録である。

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小説を読もう2026/04/07
  • 現在の作品太平洋戦争の時代に戻った俺、真空管から日本を立て直します