あらすじ
都会の生活にすり減り、十年ぶりに祖母のいる田舎町へ帰省した俺。
そこで待っていたのは、昔のままの無邪気な笑顔を見せる幼馴染・結愛(ゆあ)だった。
「おかえり。ずっと待ってたよ」
蝉時雨、丘の上の秘密基地、ヒグラシの鳴く夕暮れ。
彼女や地元の悪友たちと過ごす、永遠に続くかのようなノスタルジックな夏休み。
しかし、心地よい日常の中で、俺は少しずつ違和感を覚え始める。
いつも絵を描いている結愛のキャンバスが、なぜか「真っ白」なこと。
そして、俺自身の十年前の記憶が、すっぽりと抜け落ちていること。
「ごめんね、約束……守れなくて」
星の見えない夜、彼女が流した涙の理由とは?
封印された記憶の扉が開くとき、ひと夏の日常は切なく色を変えていく。
これは、トラウマを抱えた少女と、過去から目を背けていた少年が、十年越しの約束を果たすまでの純愛物語。