あらすじ

写真部の暗室に漂う、酸っぱく金属的な現像液の匂い。 入部して半年になる鳴海透は、その匂いを嗅ぐたびに先輩・瀬川朱莉のことを思い出してしまう。 変わり者で、夜の学校を一人でうろつくという噂があり、彼女の撮った写真には「映るはずのないもの」が必ず写り込む——そんな話は、透も半信半疑だった。 ある夜、瀬川先輩に誘われ、廃墟同然の旧校舎四階へ忍び込む。 そこには古い鏡が一枚。 先輩がフラッシュを焚いた瞬間、鏡の中に長い髪の女が立っていた。赤い口紅を塗った唇だけが、ぼんやりと浮かび上がる。 「……やっぱりいた」 先輩は、まるで旧友に再会したような声でつぶやいた。 そのとき透は気づく。 先輩の唇も、今夜は同じ夜の色の赤だった。 暗室の匂いが、記憶と恐怖をゆっくりと現像していく——

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カクヨム
カクヨム2026/04/07
  • 現在の作品先輩の口紅は、夜の色