あらすじ
かつて、この街には伝説のボス猫『フク』がいた。
どんな高い塀も飛び越え、人間たちから美味しいマグロを献上される、まさに「天下」を極めた最強の猫である。
しかしある夜、怪しい影を追っていた彼は、暗闇で足場を見失い、高いビルから真っ逆さまに落ちてしまう。
地面にぶつかる直前、フクの目に映ったのは、親の腕の中でスヤスヤと眠る人間の赤ちゃんだった。
『あいつ、僕より高くて暖かいところで寝てる……いいなぁ。次は、あっちがいいなぁ』
最期にそんなことを願ってしまったからだろうか。
目が覚めると、フクは人間の子『モチ』――望月 智(もちづき とも)として生まれ変わっていた。
せっかく温かい腕の中を手に入れたのに、五歳の時に火事で両親を喪失。十二歳になった今は、カレーの福神漬けと猫視点(ローアングル)での写真撮影を愛する孤児として暮らしている。世間から見れば、彼はどん底の「現下」を生きる負け組らしい。
『あーあ、最強だったあの頃に戻りたいなぁ……』
そんなある日、かつてフクが君臨していた街が主催する「聖地巡礼フォトコンテスト」で、モチの撮った写真が見事グランプリに選ばれる。
優勝賞品は、その街へのペア招待券と「伝説の猫フクの実物大ぬいぐるみ」。
これ幸いと、モチは同じ孤児院で暮らす親友のゼンゼン――全 善治(ぜん ぜんじ)と共に、こっそりと施設を抜け出し、前世の縄張りを目指す家出旅に出た!
しかし、久しぶりに戻ったその街では、猫界を揺るがす奇妙な事件が起きていた。そして、フクが前世に残した「ある未練」とは――?
これは、最強だった頃を懐かしむ元ボス猫の少年が、理不尽な人間界をはちゃめちゃに引っ掻き回しながら、ただ「今」を生きる良さを見つけていく、純粋でちょっと泣ける成長物語。
🐾 🐾 🐾
【作者より】
初めての投稿です! 全20話ぐらいで完結予定。
更新は気まぐれですが、週に一度は必ず出します。
モチ君の応援、よろしくね〜!