あらすじ
“断界王”と恐れられる王太子アランは、誰にも心を許さない。
戦場で多くを斬り捨て、王国を守ってきたその男が、ただひとり気にかけたのは、王城でひっそり暮らす没落令嬢ミュレットだった。
家を失い、居場所を失い、それでも医務室で人を支えながら生きるミュレット。
彼女は荒れた庭に咲く名もない花を慈しみ、冷たいはずの王太子の奥にある静かな優しさを知ってしまう。
惹かれてはいけない。
この手を取れば、きっと失う。
そう分かっているのに、彼の視線も言葉も、少しずつ彼女の心を揺らしていく。
だが、ミュレットには彼の手を取れない秘密がある。
孤独を抱えた王太子と、想いを返せない令嬢。
名を持たなかった花“ミレイア”が咲くその先で、ふたりは国の傷と自分の心に向き合っていく。