あらすじ
聖アグネス修道院で育ったエーファは、師から授かった薬草の知識を胸に、貧しい村へと下りる。彼女にとっての祈りとは、聖句を唱えることではなく、傷ついた身体に触れ、土の匂いと共に生きることだった。
しかし、新任の司祭アンセルムの到来が、村の平穏を冷たい正義で塗り潰していく。流行病の蔓延、募る不信感、そして「魔女」という断罪。エーファが最も目をかけ、愛した少女リナの裏切りが、彼女の信仰を根底から打ち砕く。
吹き荒れる憎悪の火刑台で、肉体が焼き尽くされるその瞬間、エーファが辿り着いた「真の神」の姿とは。
これは、絶望の果てに「赦し」という名の焔となった一人の女と、その残り火を抱いて生きる者たちの、残酷で美しい沈黙の物語。