あらすじ

味方が一人もいない朝が来た。 冤罪で断罪され、婚約を破棄され、家族に絶縁された公爵令嬢ヴィオレッタの手元に残ったのは、小さな鞄と数日分の路銀だけだった。 泣かなかった。嘆かなかった。 前世で外交官だった彼女の頭は、絶望ではなく状況分析を選んだ。 味方ゼロ。財産ゼロ。身分ゼロ。 だが、しがらみもゼロだ。 辺境に向かう道中で出会った旅商人の男には不審な点がいくつもあった。帳簿の数字が合わない。戦い方が商人のものではない。それでもヴィオレッタは問い詰めず、泳がせることを選ぶ。 敵であっても利用価値があるなら、今は味方として扱う。 それが彼女の交渉術だった。 辺境の町で待っていたのは、商会同士の対立、代官の癒着、よそ者を拒む空気。武器も後ろ盾も持たないヴィオレッタが使えるのは、言葉と数字と、相手の利害を読む目だけだった。 怒っている人間には、まだ交渉の余地がある。 本当に手遅れなのは、無関心になった相手だけだ。 一人ずつ、実力で関係を築いていく彼女の隣で、旅商人の男は気づき始める。自分がこの女を見つめる理由が、任務だけでは説明できないことに。 すべてを奪われた令嬢が最初に手にするのは、剣でも財産でもない。

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小説を読もう2026/04/07
  • 現在の作品悪役令嬢は「味方ゼロ」から一人ずつ寝返らせたい