あらすじ
ある日、アメリカ連邦政府は突如として機能を停止する。
ホワイトハウス、議会、国防総省——すべての中枢が同時に沈黙し、国家はわずか72時間で崩壊。各州は非常権限を発動し、やがて独立を宣言することで、合衆国は完全に解体された。
通信や経済は維持されながらも、統治という“中心”を失ったアメリカは、50の勢力が覇権を争う戦場へと変貌する。
カリフォルニアは独自通貨を準備し、ニューヨークは金融網を掌握、各州がそれぞれの強みを武器に動き始める中、テキサスは資源と軍事力を背景に、有力な覇権候補として台頭していた。
そんな中、テキサス臨時政府の戦略顧問イーサン・レイヴンは、この戦争の本質が単なる武力衝突ではなく、「構造的な競争」であることを見抜く。
突出した勢力は必ず他州から集中攻撃を受け、最終的に崩壊する——その法則に気づいた彼は、従来の常識を覆す戦略を提案する。
それは、「勝たないことで勝つ」という選択。
すなわち、自らが覇権を取るのではなく、意図的に“勝者”を作り上げ、その勢力を全体の標的に変えることで崩壊させる——戦争そのものを設計・誘導するというものだった。
当初は疑念を抱かれながらも、その合理性に着目した指揮官マリア・クロスは、この戦略を採用する。
こうしてテキサスは、武力だけでなく、情報・外交・心理戦を駆使し、戦場の“流れ”を支配し始める。
だがその一手は、やがて全米規模の連鎖的な対立を引き起こし、誰も制御できない巨大な戦争へと発展していく——。
国家が消えた世界で、秩序を作るのは誰か。
勝者とは誰か、そして敗者とは何か。
これは、50に分裂したアメリカで繰り広げられる、
支配と崩壊を巡る知略戦争の物語である。