あらすじ
ヤモリ獣人のサツキは、俺の「親友」だ。
入学初日に隣の席になって、教科書を忘れて泣きそうになっていた彼女を助けたのがきっかけ。照れ隠しで「俺たち友達だろ?」と言ったら、翌日から「親友」に昇格していた。早い。
サツキはダウナー系の陰キャだが、俺にだけ距離がバグっている。
当然のように隣に座り、当然のように弁当を交換し、当然のように手を繋いでくる。恋人繋ぎで。しかもヤモリ獣人特有の吸着力で物理的に離れない。彼女が、満足するまで。
振り返ると天井にいる。ロッカーの上から逆さまに覗いてくる。気づいたら隣にいる。
——「親友」の距離感って、こんなだっけ?
ある日の帰り、サツキを待っている間にクラスの女子と話していたら、恋バナになった。
「あの子と付き合ってるの?」
「まさか。親友が付き合ってたらおかしいだろ?」
天井から、金色の目がこちらを見ていたことに、俺は気づかなかった。
「……聞いてた。全部」
天井から降ってきたサツキに押し倒された。吸着パッドで床に固定されて、一ミリも動けない。
「わたし、最初から——親友だなんて思ってない」
教科書を交換したあの日から、ずっと。
「親友って呼べば、隣にいられるから。手を繋いでも、くっついても——親友だから、で許されるから」
ゼロ距離だった親友が、距離をマイナスにしてくる。
「大丈夫。ちゃんと動かせるよ。——でも、わたしが満足しない限り、絶対に抜けないけど、ね💞」