あらすじ

「美味しそう」  麗しい美女は、僕を食べようとした。その美女は、蛇の目の、濡れ女だった。 「喰雨(しょくう)」と呼ばれる公害が広く認知された現代。文明の針の進みに歪みと狂いが生じる二〇二九年、日本。  触れたものを飢餓状態に陥れ、その偏食嗜好さえ捻じ曲げる恐るべきこの雨は、人間を、あるいは動植物を「怪物」へと変えた。  喰雨に打たれたものはのべつ幕なしに生物・非生物を区別なく捕食する獣害生物、「喰雨獣(ウーヴェン)」へと姿を変えた。  喰雨獣は研究利用目的を除き、その全てを「治療不能の公害病罹患者」として認定されることになり――。 「罹患者」は日本を始め多くの国家で、「超法規医療措置」と称した「討治(とうじ)」――すなわち、「抹殺と滅菌」が合法的に行われていた。  そんな、血の雨が降る現代において。  平凡な青年――暮雨健次郎(くれさめけんじろう)は、恋人の通夜の帰りに降雨警報を耳にする。  しかし最愛の人を失った喪失心から、死というものに座礁していた彼は、雨に打たれてもいいと捨て鉢になっていたが――。  突如、彼は手を引かれ、路地に引っ張り込まれる。  健次郎を路地に引っ張り込んだのは、どこか浮き世離れした、黒和服の大和撫子だった――。

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カクヨム2026/04/06
  • 現在の作品レイン・ドロップス・ザ・ダーティブラッド