あらすじ
——彼女の言葉は、すべて嘘だった。あるいは、すべて真実だった。
高校二年の幣原 蒼太(しではら そうた)は、人と関わることを極端に避けて生きている。中学時代、親友だと思っていた人間の「嘘」を見抜けなかったことで、取り返しのつかない事件を起こしてしまったからだ。以来、彼は他人の言葉を信じることができない。
四月の始業式の日、蒼太のクラスに転入してきたのは、銀灰色の髪に琥珀の瞳を持つ少女——玖条 透子(くじょう とうこ)。彼女は自己紹介の場でこう言い放った。
「わたし、人の嘘が視えるんです」
クラスメイトは笑い、教師は困惑した。だが蒼太だけが気づいた。彼女の言葉に、嘘の気配がないことに。
透子は学校で次々と起こる「些細な異変」——消えた図書室の本、すり替わった試験答案、屋上に残された誰のものでもない靴——を、「嘘が視える」という能力で鮮やかに解き明かしていく。蒼太は透子の「助手」として巻き込まれ、やがて彼女の謎解きに不可欠な存在となっていく。
しかし、蒼太はやがて気づく。透子が解き明かす「真実」には、常にひとつの奇妙な法則があることに。
彼女は、人の嘘を暴くたびに——自分自身について、ひとつずつ嘘をつく。
透子とは何者なのか。なぜ彼女は「嘘が視える」のか。そして、彼女自身の嘘の向こう側にある、本当の姿とは——。
日常の謎を解くたびに深まる、少女の秘密。 嘘と真実の境界で揺れる、ふたりの青春ミステリー。