あらすじ
喰雨と呼ばれる公害が広く認知された時代。文明の針の進みに歪みと狂いが生じる二〇二九年、日本。
触れたものを飢餓状態に陥れ、その偏食嗜好を捻じ曲げる恐るべきこの雨は、人間を、あるいは動植物を恐るべき怪物へと変えた。
この喰雨に打たれたものはのべつ幕なしに生物・非生物を捕食する「喰雨獣《ウーヴェン》」へと姿を変え、その存在は、「治療不能の公害病罹患者」として認定されることになった。
そして日本を始め多くの国家で、「国による超法規医療措置」と称した「討治(とうじ)」――すなわち、「抹殺と滅菌」が合法的に行われていた。
そんな時代。
平凡な青年――暮威静真は、人間でも喰雨獣でもない、「喰人《くらうど》」としての日々を送っていた。