あらすじ
仕事と看病に追われ、心身ともに限界を迎えた私は、静養のためスイスを訪れた。
そこで再会したのは、遠距離恋愛中の恋人・ビー。
穏やかなはずの滞在は、ある違和感から崩れ始める。
レストランで見かけた“黒い瞳の男”。
そして、その男の過去を「夢」として追体験する私。
それは偶然ではなかった。
彼に取り憑いていたのは、霊ではなく――“悪魔”。
人の恐怖や絶望に共鳴し、内側から侵食する存在。
そしてそれは、次の“器”として私を選ぶ。
「境界に立つ者」
そう告げられた私は、逃げることをやめた。
銀のチャーム、拾ったロザリオ、そして恋人の存在。
すべてを繋ぎ、私は“それ”と対峙する。
これは、
悪魔に触れてしまった一人の女の記録。
そして、
それでもなお――愛に戻ってくる物語。
■登場人物紹介
■N(私)
本作の主人公。30代女性。
看護師であり、護身術道場の師範代。
父方の家系に伝わる強い霊感を持ち、
「他人の記憶や感情を夢として追体験する」という特異な能力を持つ。
冷静で面倒見がよく、無自覚に“王子様ムーブ”を発揮しがち。
自分のことは後回しにするタイプ。
今回の事件で、自身が「境界に立つ者」であることを知る。
■ビー(ベック)
Nの幼馴染であり恋人。日英ハーフ。
イギリスの大学で研究職に就く才女。
美しい容姿と知性を兼ね備えながら、
繊細で優しい一面を持つ。
Nを深く理解し、支え続ける存在。
遠距離恋愛中だが、強い絆で結ばれている。
甘さと芯の強さを併せ持つヒロイン。
■アレン
アメリカ人の中年男性。
数年前に銀行強盗に巻き込まれた過去を持つ。
その体験をきっかけに精神が不安定になり、
実際には“悪魔的存在”に共鳴・侵食されていた。
物語の中心となる被害者であり、
同時に「境界」の存在を浮き彫りにする鍵。
■神父
スイスの教会に仕える人物。
アレンに憑いた存在の正体を見抜き、対処していた。
冷静かつ実践的な知識を持ち、
Nと共闘して“悪魔”の排除にあたる。
「境界」という概念をNに示す導き手。
■ミコト
Nの高校時代の友人。神社の家系。
霊的知識と祓いの力を持つ。
クールで辛辣だが、誰よりもNを心配している。
今回の事件に対し、「悪魔」という概念を明確に提示する役割。
■ショウ
Nのはとこ。スイス在住。
陽気で現実的な性格。
非日常に巻き込まれつつも、冷静に状況を支える存在。