あらすじ
20XX年のトーキョー、ジングウ地区。
数十年前、突如としてトーキョーの一角、シブヤ周辺からシンジュクまでのジングウを中心とした地域は亜異界と化した。
元より人間の欲望と神の住む空間が隣接していた街は、それらとの相性が良かったのだろう。あれよあれよという間に街は姿を変え、闊歩する住人たちにも異界の住人が混ざるようになった。そして、その瞬間に街にいた人間たちは、ジングウ地区から出ることができなくなってしまった。隔離後に入り込んできた人間たちは、脱出することができたにも関わらず、だ。
それらの事実を、地元の人々は抵抗することなく受け入れた。
完全自治区として存在している街の中では、外界の法律は通用しない。優勝劣敗、適者生存、弱いものは生き残れない。
そんな中でも、人間たちはあやかしや神性存在と共存を図っていった。そして、徐々に作られていった治安組織と暗黙の了解という名のルールの元、人々は今日もこの街で生活を続ける。
外界からすれば、そこは未知の技術や品々の溢れる魅力的な街。
街は両腕を広げてあなたを歓迎するだろう。
しかし、戻れないかもしれない、という覚悟が必要なことを忘れてはいけない。
ジングウ地区への出入りは誰でも可能だが、しかし禁忌を犯した場合には出られなくなってしまうのだから。
元裏原宿、通称ウラハラの路地裏に、ひっそりと佇む小道具屋『萬蓮古玩(ばんれんこがん)』
この物語はなんでもない小さな店の店主カツミと店員ヒイラギの日々を綴ったものである。