あらすじ

田舎に住みながら日々勉学に励む「私」はある夜、自らの葬式に参列するという不思議な体験をした。その体験を忘れまいと「私」は夢日記をつけることとした。本作は「私」が書いた夢日記そのものである。 その日勉強を終えたあと「私」は眠ることができず、窓から景色を眺めていた。すると目の前の山の中腹で灯りを焚いている何かを見つけてしまう。好奇心からそれを確かめに行くと、そこで行われていたのは自分自身の葬式だった。式には見知らぬ小人たちが集まっていて、「私」はある会話を耳にした。 「閻魔様はどうご判断なさるだろうかね。」 死んだとされる「私」を次に待ち受けていたのは閻魔の裁定会だった。小人の会話を聞いていると異常な立ちくらみがして、気づくと私の横には私から分離したもう一人の私"孤独"が現れる。 私と孤独は飛んだような落ちたような感覚ののち、閻魔の裁定会の会場に到着していた。以降孤独が「私」の代わりとして動き、「私」はそれを観察することとなる。裁定会には世界中から人が集まっており、そこで孤独は様々な人物と出会う。 まず出会ったのは自己嫌悪の言葉を繰り返し口にする女性。孤独はそんな彼女を放っておけずに寄り添おうとする中で、互いに前向きになることを知る。そして審査の一次審査を担うゲートにおいて、ゲートは彼女に対してのみいかなる反応をも示さないという異常事態が発生した。混乱の中孤独は女性の手を引いて逃げるという選択を取るも、責任から逃れることはできず、ある処分が下されることとなる。 その後も、結果と評価が人間の全てだと考える七三分けの男との言い争いや、感情に素直になることの大切さを説く老婆との対話を通じて、幾つかの大切な問いを見つけ思索を重ねていく。 最終的な閻魔の問いはこうだった。 「では生前を述べてみよ。」 本作は夢かどうかもわからない臨死体験ともいえるような状態の中で、人が見落としてしまいがちな感情や価値の本質と向き合っていく内省的寓話である。

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カクヨム
カクヨム2026/04/06
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