あらすじ
これは第33回電撃小説大賞用のあらすじです。物語のネタバレを含みますのでご注意ください。
あらすじ
旅人カオル・ヤサカは、戦争が十年前に終わったはずの平原で、いまだ塹壕に籠もる四人の少女兵士と出会う。
彼女たちは「司令部からの命令が解除されていない」と信じ、戦闘態勢のまま生活していた。
カオルは彼女らの言動や、腐敗したコーヒーを平然と飲む様子から異常を察し、深夜に兵士の一人イエヴァを問い詰める。
「ここの戦争が終わったのは、もう十年も前のことなんですけれども」
やがてカオルは真実を告げる。実はここは地球ではなく銀河系にある惑星<ルーシIV>だった。
<ルーシIV>はオリオン=サジタリウス・人類連合<OSHU>と太陽系帝国<TE>の戦争の舞台となった惑星の一つであった。
戦争に志願した四人は戦争末期に戦死し、太陽系帝国の機械生命体により人間型の疑似餌として再構成された存在だった。
周囲に転がる戦車や装甲車らしき残骸も、実は機械生命体が偽装した本体であり、彼女たちは旅人を誘い込むいわば『アンコウの突起(Angler)』に過ぎなかった。
正体を現した機械生命体は四人の身体を歪め、巨大な機械の巨人へと融合してカオルを襲う。
逃走の末、カオルは自らの意識を軌道上の私用艦<フロウ>へ転送し、「艦砲射撃でわたくしごとこいつを吹き飛ばして!」と命じる。
降り注いだ光柱は巨人もカオルの義体も消し飛ばし、戦場には巨大なクレーターだけが残された。
艦内で新たな義体に再起動したカオルは、回収された機械生命体のメモリから四人の“人工意識”が救出されたと知らされる。
再設計された彼女たちは平和な情報世界で目覚め、カオルに微笑みかける。
カオルは静かに彼女たちを迎える。
「ようこそ、平和な世界へ。アンヘリナちゃん、ミラナちゃん、ソロミヤちゃん、そして……。イエヴァちゃん」