あらすじ
人は、聞きたい音だけを拾い上げている。
——カクテルパーティー効果。
そして、頭の中で繰り返される音。
——イヤーワーム。
雑学としてそれらを語っていた大学生・水野は、同級生の立石美咲に呼び出される。
彼女の相談は、「音」だった。
「何かが近づいてくる足音が聞こえるんです」
それは靴音ではない。
裸足で、泥を擦るような、水気を含んだ足音。
さらに、絡まった髪を無理やり引きちぎるような音まで混じるという。
ただの錯覚——そう片付けようとする水野。
しかし、彼女の語る“音”はあまりにも具体的で、聞いているだけで、情景や姿が想像できてしまう。
交わされる会話の中で、ふと水野はあることに気が付いた。
「どうして自分は、音の正体を知っているのだろう」