あらすじ

―――兄の自殺の真相を追う青年と悠久を生きた恋人の物語。 大学三年の冬。黒田深寛(くろだみひろ)は、一歳年上の兄である黒田徳人(くろだとくひと)が自殺したことを知る。 彼は愛しい恋人と一緒に生きられないことを受け入れられず自殺したという。しかし、彼の恋人はいたって普通の家に生まれ、余命が限られているというわけでも無かった。 それは不自然な動機であり、確実に何か真相が隠れていることの表れであった。 深寛は徳人の葬儀で、ある女性に会う。 明谷廻莉(あきたにかいり)。徳人と共に自殺した明谷沙羅(あきたにさら)の妹で、彼女は深寛にとってどこか懐かしく惹かれるところがあった。 その理由を知らないまま、葬儀のあと彼女から兄の死に関わる録音が送られてくる。 録音の中には自殺する直前の徳人と沙羅、それから廻莉の会話が入っていた。徳人と沙羅を自殺へと衝き動かす明確な理由がわからないまま録音は進んでいく。そして最後、徳人は深寛に対して遺言を残すと言ったところで録音が終わってしまう。 最後兄は何を言い残そうとしていたのか。ある理由から兄を恨んでいた深寛にとって、彼の遺言はただの遺言ではなかった。 そうして深寛は遺言の内容を知るべくこの録音の送り主である明谷廻莉に会うことを決める。 明谷廻莉は普通の人間では無かった。性格の問題ではなく、いち生物として普通の人間とは異なった存在であった。 初めは人間の卵のような形で原始の海を漂った。やがて地球上に魚が現れると、それら外敵から逃げるように彼女も魚になった。 それから地球上の生物が進化し、哺乳類が現れたところで彼女は人間になった。 彼女は生物という存在が生まれたその時から生き永らえる人ならざる者だったのだ。 そして彼女は、黒田深寛に、ある「お願い」をするため餌として録音を送った。四十億年を生きた彼女の、最後の憂いを晴らすことができるのは彼しかいない。 これは壮絶な時をめぐる二人の男女の物語。 ※この物語はフィクションです。

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カクヨム
カクヨム2026/04/06
  • 現在の作品いつかの約束、魚は笑う