あらすじ
声を失った令嬢、アリア・ヴェルダンには——魔法式の奥に「黒い文字」が見えていた。
それは精霊の言葉。万物に刻まれた“真名”。
だが現代魔法は、数式と理論のみで成り立つ世界。精霊も真名も否定され、感情は排除される。
声を持たない彼女は「落ちこぼれ」と呼ばれていた。
——王立魔法学院の入試当日。
魔力を“論理”と“感情”に分解する封印石に触れた瞬間、アリアはその奥に眠る“名前”を読み取ってしまう。
そして、石は応えた。
しかしそれは試験の逸脱として不合格。
全てを否定されたその三日後——王都に、伝説の神獣が現れる。
暴走する神獣。
どんな魔法式も通じない災厄。
だがアリアは、その全身に刻まれた“真名”を読み取り——声なき歌で呼びかけた。
怒りも、孤独も、すべてを言葉にして。
その瞬間、神獣は牙を収め、彼女の手に頭を預けた。
これは、声を奪われた少女が“言葉の本質”に辿り着く物語。
精霊を数式に封じた世界で、
ただ一人、“真名”を読む語り部が——魔法の常識を書き換えていく。