あらすじ
かつて、その指先一つで勇者の軍勢を塵に変えた最強の魔族、リヴェル。
不遜な振る舞いで魔王の逆鱗に触れた彼は、魔力を奪われ、もっとも蔑んでいた「人間の肉体」へと堕とされる刑に処された。
泥水を啜り、低級魔物に怯える屈辱の日々。
そんな彼を救ったのは、国を滅ぼした魔族への復讐を誓う、亡国の王女リファだった。
「パパ、あっちでトカゲを見つけたよ!」
「……汚すな、小僧。俺はパパではないと言っただろう」
正体を隠すために始まった、王女と、魔族のハーフの少年との「偽りの家族」生活。
三千年の永劫を生きてきたリヴェルの心は、刻一刻と死へ向かう人間の「熱」に侵食されていく。
しかし、平穏は長くは続かなかった。
リファの国を滅ぼした因縁の魔族が現れた時、リヴェルは決断を迫られる。
魔族として不滅を貫くか、人間として誰かを守り、死ぬか。
これは、永遠の命を持つ邪悪な男が、自分の本当の「名前」を思い出し、一人の人間として人生を全うするまでの、壮大な愛と救済の物語。