あらすじ

深夜ラジオ『音の縁側』を担当するディレクター・藤沢彩、三十二歳。 ある日から、番組に毎週手紙を送ってくる男性リスナーがいる。 声よりも先に届く準備の音が好きだと書く。音が消えた夜に、番組の沈黙が聞こえたと書く。その言葉は、彩が長いあいだ忘れていた場所に、静かに触れてきた。 ある深夜、局のロビーに現れた男が手紙を差し出した。スマートフォンの画面には短い文字。 「神田諒です。迷惑でしたか」 彼は声を失っていた。二年前の事故で。 言葉を持ちながら、声を持たない男。 声を扱いながら、大切なことを言えずにいた女。 代々木公園のベンチで、手紙と沈黙と、短い言葉の交換が重なるたびに、二人の距離は静かに縮まっていく。 声のない愛が届くまでの、静かな物語。

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カクヨム
カクヨム2026/04/06
  • 現在の作品君の声が聞こえる場所 ――深夜ラジオに届いた手紙は、声を失った男からだった 言葉を持ちながら、声を持たない男。声を扱いながら、大切なことを言えずにいた女。