あらすじ
夜。背後に黒々とした山を控える郊外のガソリンスタンドに、一台の車がゆっくりと滑り込んできた。白々と光る照明だけが、タイヤ痕のついたコンクリートの床面を照らしている。
店員はいつものように営業用の笑顔を貼りつけ、軽い駆け足で車に近づいた。
「いらっしゃいませ! レギュラーでよろしいですか?」
「あ、は、はい。ま、満タンでお願いします……」
「かしこまりました! 恐れ入りますが、給油口を開けていただけますか? よろしくお願いしまーす」
「あ、は、はい……」
「ありがとうございま――あっ、あはは。トランクのほうが開いちゃいましたね」
「え、あ、あ、あ、ま、まちが、まちがえ、あ」