あらすじ

都会で小説家になる夢に破れ、故郷で父の葬儀社を継いだ浅井誠次。ある日、彼は父の遺品の中から古びたアドレス帳を見つける。そこには、十年前の自分の電話番号が記されていた。 衝動的にダイヤルした誠次が耳にしたのは、解約されたはずの番号から響く、若き日の自分自身の声だった。 「今、傑作を書いているんだ」 過去の自分が語る圧倒的な物語を、現在の誠次は「自分の新作」として盗作し、出版することを決意する。 瞬く間に世界的なベストセラーとなり、栄光の頂点に立つ誠次。しかし、成功と引き換えに、彼の周囲では「影」が消失し、現実が変質し始める。執拗に追う週刊誌記者、不可解な失踪事件を追う刑事。そして、スマートフォンの向こう側で変貌していく「過去の自分」。 書けば書くほど、世界から「浅井誠次」という実体が削り取られていく。彼が最後に手にするのは、至高の栄光か、それとも底なしの虚無か。デジタルとアナログが交錯する、戦慄の自己簒奪ホラー。

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カクヨム
カクヨム2026/04/06
  • 現在の作品『僕の影を俺が踏む時』(短編バージョン)