あらすじ

月曜の朝。降り続く雨はすべてを灰色に塗り潰していた。  駅のホームへ向かうはずの足が、不意に逸れた。 巨大な唸りを上げる変電所。  理屈じゃない。僕の血液(鉄分)が、あの「隔離された聖域」にハッキングされたんだ。 フェンスの向こう側。雨のカーテンに遮られた場所に、彼女は立っていた。  肉を割り、骨を削って直接ボルト締めされた、鈍く光るアルミの翼。  呼吸するたびに滴る、血の混じった絶縁油。 「ねえ、触れてみて。……痛くないよ?」 指先が触れた瞬間、思考は炭化し、神経系は逆流する。  この痛みこそが、僕と彼女が唯一「導通」している証明だった。 アース(接地)なんて、もういらない。  二人でこの6600ボルトを抱えたまま、焼き切れてしまおう。 電気工事士の筆致で描く、放電と捕食の異形純愛ホラー。 著者:位相 朔(Iso Saku)

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カクヨム2026/04/05
  • 現在の作品絶縁破壊 ―6600Vの抱擁―