あらすじ
乙女ゲーム『薔薇色の誓約』の攻略本を作った編集者・桐島澪は、過労死の直後、そのゲームの悪役令嬢ヴィオレット・エルミナ・ドラクロワに転生していた。
断罪エンド確定。婚約破棄まで三年。詰んでいる。
――と思いきや、私はこのゲームの攻略本を自分で作った人間である。
シナリオも、フラグ管理も、バッドエンドの条件も、全部頭に入っている。負ける要素、どこにある?
前世の記憶を取り戻したヴィオレットは、即座に攻略チャートを作成し、運命の書き換えに乗り出した。方針は三つ。ヒロインを敵にしない。王子に「読めない女」だと思わせる。自分の味方を増やして、シナリオの流れごと変える。
ところが現実は、チャートどおりに動かない。
ゲームでは鉄壁クールなはずの第一王子は、なぜか行動するたびにこちらを観察している。ヒロインのはずのエミリアは、いつの間にか味方になっている。情報収集が得意な男爵令嬢は「ヴィオレット様のためなら国を敵に回します」と真顔で言い出した。幼馴染の伯爵子息は、自分が恋をしていることに気づいていない。
そして何より、攻略対象を冷静に分析していたはずの自分が、いつから彼のことを「攻略対象」として見られなくなったのか、まったく自覚できていない。
これは悪役令嬢が運命を変える話である。
ただし、シナリオを書き換えるうちに、自分自身も書き換えられていくことに、彼女はまだ気づいていない。