あらすじ

放課後の図書室。埃が光の粒になって踊るその場所で、地味な図書委員・佐倉ハルキの聖域は、隣のクラスの美少女・白石凛によって塗り替えられた。 一冊の古い詩集、二人掛けのソファ、そして「三センチ」の距離。 「半分こしよっか」 彼女が浮かべた透明な笑顔に、ハルキは瞬く間に恋に落ちた。それが、死者から贈られた「生贄の儀式」だとも知らずに――。 図書室で見つけた古い貸し出しカード。そこには、亡くなった彼女の兄・慎二が遺した温かなメッセージが記されていた。兄の影を追う凛を支えたいと願うハルキだったが、二人の距離が近づくほどに、図書室を巡る不穏な「呪い」が牙を剥き始める。 文化祭の迷路を抜け、ようやく結ばれた二人。 しかし、冬の訪れと共に、もう一人の「白石」が現れる。 「慎二兄様があなたを選んだのは、凛を守るための『身代わり』にするためよ」 彼女からもらった「願いが叶う消しゴム」が小さく削れていくたび、暴かれていく残酷な真実。 ハルキが愛した彼女の笑顔は、罪悪感ゆえの仮面だったのか。 ハルキが握りしめた彼女の手は、彼を死の淵へと引きずり込む死神の誘いだったのか。 削り取られた貸し出しカードの空白に、ハルキは何を書き込むのか。 甘酸っぱい放課後の恋は、すべてを凍りつかせる真冬の断絶へと加速していく。 ――おまじないが解けるとき、僕たちの聖域は、氷の檻に変わる。

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カクヨム
カクヨム2026/04/05
  • 現在の作品図書室の幽霊と、放課後三センチの境界線