あらすじ
ブラック企業で営業として働く27歳の神谷 恒一は、毎日ノルマと上司の罵声に追われ、ただ消耗していくだけの人生を送っていた。
ある日、何気なく買った宝くじが当選する。
金額は――10億円。
突然手に入った莫大な資産は、神谷の人生を一変させる。
だがそれは「幸福への切符」ではなかった。
会社を辞め、自由を手に入れた神谷は、投資の世界へ足を踏み入れる。
最初は小さな成功だったはずの運用は、やがて常識を超えた利益を生み、彼は“静かに勝ち続ける存在”へと変わっていく。
しかし、金は人を選ばない。
近づいてくるのは、欲望にまみれた人間、金に群がる女たち、そして裏の世界の影。
唯一、変わらず神谷のそばにいるのは、大学時代の後輩・奈緒だけだった。
金に興味を持たない彼女は、神谷の異変にいち早く気づいていく。
「それ、本当にあなたの幸せなの?」
資産は増え続ける。
人間関係は歪んでいく。
そして神谷は気づき始める。
――この10億円は、人生を豊かにするためではなく、静かに壊すためのものだったのではないかと。
これは、金を手にした男が「成功」と「孤独」の狭間で揺れながら、
本当の幸せの意味を問い続ける物語。
――静かな無双と、崩れていく人生の記録。