あらすじ
バグに侵されたVRMMO『詩忍にくちなし』に閉じ込められたジュリネ。
お嬢様生活を満喫するはずが、一転して命懸けの状況に。
ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ・・
"この世界では『文字』が能力となる!"
脱出するには魔王を倒すしかない。
優雅(?)で物騒な主従コンビの攻略劇が始まる。
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ドォォォンッ!!
激しい攻撃のぶつかりで砂煙が舞った――。
激しい風が衝撃の中から生み出された。
『これは凄まじいぶつかり合いだぁ!!』実況の声がこだまする。
《すごい。こんなに本格的バトルのゲームだったんだ……。》
闘技場では二人が戦っていた。
沢山の壁が戦場を見にくくしている。
一人はガタイいい体格の大男。手にはハンマーを持っている。
【|波《は》動――】
空気を殴るとその空気が揺らめいて空気弾になって吹き飛んでいく。その弾は壁に拒まれた。
彼はその壁を|ハ《・》ンマーで一撃粉砕。
『近距離戦でも強いのに、遠距離攻撃もできるなんてとってもズルいぞぉ!』
一方で、相対する相手はまだ小学生高学年ぐらいの女の子だった。あまりの体格差に圧倒的不利を感じ、応援しずにはいられない。
《女の子、頑張れ。負けるなっ!》
【|ウォ《ヲ》ール】
地面から壁がせり立った。
その女の子の文字は"ヲ"及び"ウォ"だった。言葉の数が少ない圧倒的不利な文字だ。
『文字のティアランキングで最下層の"ヲ"及び"ウォ"じゃ、ランキング上位に位置する"ハ"にはやっぱり勝てないかぁ~!?』
誰が見ても一目瞭然で女の子が負けるだろう。そんな雰囲気がある。
《だからこそ、応援したくなるのよね。》
【|ウォ《ヲ》ーク】
巨体な戦士が走るのを止めた。これは技によって歩かさせられているのだ。だが、歩くにしては早すぎる。
「嬢ちゃん。|言霊《ことだま》が弱ぇんだなぁ。早歩きはちゃーんと認めてくれるんだもんなっはっはっー!」
早歩き……というよりも、変な小刻み走りで近づいていく。そして、ハンマーを斜め横に振り上げた。
『このままじゃ負け濃厚だぁ!』
しかし、女の子は少しだけ笑っていた。
「これで勝ちです……。」
《えっ、何事……?》
突然壁が倒れ始める。その壁が別の壁にぶつかり、その壁を倒す。ドミノ倒しに倒れていく壁。連なる先には大男がいた。
「なんだとっ!?」
壁に埋もれてしまった男。壁が彼を潰したのだ。
『勝負ありぃ!! まさかの|BET《ベット》大波乱だぁ!』
アナウンスが女の子の勝利を告げた。歓声がどこかしこも響いていく。
《これが……『詩忍にくちなし』。すごい……。あっ、ここでチュートリアルの説明に入るのね。ちゃんと聞いておかないと。》
――――――。
ようこそ『詩忍にくちなし』というVRMMOのゲームへ▼
『詩忍』の誕生を嬉しく思う▼
君達『詩忍』は、一つの日本語の「文字」を手にし、その文字から始まる言葉の物を召喚したり、発動したり、変身したりできるぞ▼
さて、今より詩忍となった君に能力を授けよう▼
君の「文字」は……▼
『じ』▼
異論はないな? ▼
うむ。では、最後に君の名前を聞こう▼
"ジュリネ"でよろしいか? ▼
では、新たな詩忍の誕生に祝福を▼
ゲーム、スタート――▼