あらすじ
高校二年生の 朝霧蓮(あさぎり・れん) は、幼い頃の事故以来、「人ならざるものの本性(まこと)」が視える体質を持っていた。だが彼はその力を隠し、平凡な日常を送ることだけを望んでいる。
ある雨の放課後、蓮は旧校舎の密室で起きた「不可能犯罪」——鍵のかかった部屋から消えた生徒の謎——に巻き込まれる。そこに現れたのは、転校生の 白雪つむぎ。銀色の髪に琥珀の瞳、完璧な美貌。そして蓮の眼にだけ映る、彼女の頭上でゆらめく 九本の狐の尾。
「あら、わたしが視えるの? それは困ったわ——あなた、わたしの共犯者になってくれない?」
つむぎは九尾の狐の末裔でありながら、人間社会に紛れて暮らす「あやかし」たちの間で起きる怪事件を、密かに解決する探偵だった。しかし彼女の推理は完璧に見えて、その裏にはいつも一つだけ嘘が混じっている。
なぜ彼女は嘘をつくのか。なぜ「恋」という言葉だけは、推理の対象にできないのか。
蓮はつむぎの助手として、人間とあやかしが交錯する事件を解き明かしていくうちに、彼女の「嘘」の真意と、自分自身が視える体質を得た本当の理由——そして二人を繋ぐ、前世からの因縁に気づいていく。