あらすじ
空も、街も、思い出さえも。
すべてが「忘却の霧」に侵食され、色彩を失った灰色の都市。
この世界では、人は死なない。ただ、霧に飲まれた者から順番に存在が「透明」になり、誰の記憶からも、記録からも消え去ってしまうだけ――。
感情を殺して「透明な死」を待つ少女・シロ。
絶望的な世界で、太陽のように眩しく笑う少女・灯(あかり)。
最悪の出会いを果たした二人は、街を維持するための生贄――「調律者」の候補として選ばれてしまう。共に過ごす時間、重なる指先、分け合うたった一つの林檎。
孤独だったシロの心は、灯(あかり)がともす熱によって、少しずつ色を取り戻していく。
しかし、二人の絆が深まるほどに、世界は残酷な「バグ」を見せ始める。
灯(あかり)の肌を走るデジタルノイズ。
身に覚えのないはずの、痛みの共鳴。
そして突きつけられる、調律の真実。
「――世界を救う方法は、愛する人の存在を、この世から完全に『忘れる』こと」
壊れゆく箱庭の中で、少女たちが選ぶのは「偽りの平和」か、それとも「残酷な真実」か。
これは、システムに抗い、お互いの魂を刻み込もうとした二人の、切なくも尊い20話の物語。
たとえ世界が君を忘れても、私の痛み(からだ)が君を覚えている。