あらすじ

音大のピアノ科を優秀な成績で卒業した香月美千代は結婚して自宅でピアノ教室を運営している。 ピアノコンクールで一位を取り、華々しくピアニストとしてデビューするという夢に挫折し、子供相手のピアノの先生をしている自分を「負け組」と決めつけ、鬱々とした毎日を送っていたところ、近所のコミュニティセンターでジャズピアニストの深町実と出会う。 深町に「ピアニストになるのに資格は必要ない。自分はピアニストだって言えばいい」と言われ、美千代はその言葉に反発するが、深町は美千代の苦しい胸の内を見抜き、「ピアニストに必要なのは、右手と左手ともう一つ。それは何か」と問いかける。 美千代はその「もう一つ」を探しながら、もう一度、自分とピアノに正面から向き合い、夢を追いかけようとする。 ◇登場人物◇ 香月美千代(31歳) 私立の中堅音楽大学のピアノ科卒。 三年前に浩介と結婚し、自宅を利用してピアノ教室を運営している。大学一年生の時に出場した全日本クラシックピアノコンクールで本選に残り、在学中は「天才」と呼ばれていた。 浩介(40歳) 美千代の夫。理系で本が好き。美千代と結婚して、趣味としてピアノを弾き始めるが、ある理由で弾かなくなってしまった。 深町実(26歳) 名門である明文館音大のピアノ科中退。ジャズピアニストとして活動しており、普段は師と一緒にアメリカのモンタナ州で暮らしている。 皆川(38歳) 調律師。美千代のよき理解者。同い年の恋人がいるが、自分のことはほとんど話さないため、美千代も皆川の私生活のことはあまり知らない。

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カクヨム2026/04/05
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