あらすじ
民間の火災調査員・相川志帆は、原因不明の小規模火災の調査を依頼される。現場は最新の防火設備を備えたマンションの一室。しかし焼けていたのは、部屋の中のテーブル中央だけだった。周囲には延焼の痕跡すらなく、まるで“そこだけを狙って燃えた”かのような異様な状況に、志帆は強い違和感を覚える。
調査を進める中で、焼け方が通常の火災とは異なり、「外からではなく内側から燃えている」可能性に気づく。さらに、発火に必要な条件が満たされていないにもかかわらず燃焼が起きていることから、この現象が単なる自然発火では説明できないことを確信する。
現場で彼女は、焦げ跡の中に“指のような形”を見た気がする。そして帰宅後、過去にも同様の「原因不明かつ局所的な火災」が複数発生している事実を突き止める。それらすべてに共通するのは、異常な燃え方と、説明不能であるという点だった。
これは事故ではない――そう直感した志帆のもとに、非通知の電話がかかってくる。「それ以上関わるな」と警告する謎の声。そして最後に告げられたのは、「次は、人が燃える」という不穏な言葉だった。
志帆は、この不可解な“自然発火”の裏に、何者かの「意思」が存在するのではないかと疑い始める。
だがその正体はまだ、闇の中にある。