あらすじ
刻位。それは、人の価値を決める絶対の序列。
宇宙に広がる旧帝国圏連合では、魔刻序列制によって能力も信用も未来も定められ、低位刻位の者は生まれながらにして「劣った存在」として扱われる。末端層で生きる青年エドワ=リュンもまた、その理不尽を当たり前のものとして受け入れかけていた。
だが、そんな世界の常識を揺るがす存在がいる。
約五千百年続く守護者の称号「ヴェイル」。星間戦場に現れ、圧倒的な力で戦局を覆すその存在は、民衆にとっては遠い伝説であり、同時に支配の時代に差し込む唯一の光でもあった。
戦場で語られる英雄譚。
地上で積み重なる沈黙と屈辱。
交わるはずのなかった二つの世界は、やがてエドワの運命を大きく変えていく。
弱者が強者になる物語ではない。
欠落を乗り越えて普通になる物語でもない。
制約や烙印を抱えたまま、それでも世界の価値基準そのものに立ち向かう者たちの物語である。
星々を隔てる戦火。
閉ざされた歴史。
そして、誰にも見えない場所で少しずつ軋み始める世界の仕組み。
価値とは、誰が決めるのか。
差別を正しさとして組み込んだこの世界に、静かで苛烈な審判が始まる。