あらすじ
様々な規格の魔獣が轡を並べる魔獣レースに世界中の人間が熱狂する世界。
どんな魔獣でも無難に回して掲示板に持ってくる――二十三歳の若手騎手、梶湊はそんな「善戦マン」だった。
そんな彼の前に現れたのは、一頭の「災害」だった。
かつての絶対王者コヌングヴィンの血を引きながら、その苛烈すぎる気性ゆえに誰一人乗りこなせず、場末の未勝利戦で燻る漆黒の馬型魔獣――ストロムヴィン。
ある日、湊はストロムヴィンの代理騎乗を頼まれる。
そこで予定にない代理騎乗でありながら、湊はストロムヴィンと共に見事に一着でゴール板を駆け抜け、ストロムヴィンに初勝利を飾らせる。
周囲はまぐれと失笑する。だが、湊だけは確信していた。
鞍越しに伝わるその勝負根性と、底知れない身体能力。これは父をも超える怪物の片鱗だと。
泥塗れのコースから、世界を塗り替える「風」が今、吹き始める。