あらすじ
命に、値段はつけられるのか。
現代日本で生涯を医療に捧げ、無償で人を救い続けた老医師・真田喜助は、最期の瞬間までその信念を貫いた。
――そして目を覚ますと、異世界の少女「エリシェル」として転生していた。
だがその世界では、治療は特権だった。
金のある者だけが救われ、貧しい者は見捨てられる。
医療はギルドと権力に独占され、「命」は取引されるものになっていた。
だから彼女は決める。
「無料で診ます」
それは、小さな村から始まった。
瀕死の子供を救い、疑念を信頼へと変え、
やがて人は集まり、知識は広がり、医療は“仕組み”へと変わっていく。
だがその行為は、既存の権力を揺るがすものだった。
冒険者ギルドの圧力。
王国による医療封鎖。
貴族による政治利用の誘い。
――それでも彼女は、決して折れない。
「治療は、交渉の道具じゃない」
戦わない。
だが、負けない。
医療を武器にせず、“構造”で世界を変える。
やがてその思想は、王都をも巻き込み、
腐敗した制度を崩壊させ、ひとつの答えへと辿り着く。
それでもなお、彼女は立ち止まらない。
すべての命が救われる世界など、存在しない。
それでも――救える命は、確かにある。
これは、一人の治療師が
「命の価値」を問い続ける物語。
そして――
医療が、世界を変える物語。