あらすじ
登場人物
ガビーナは、山と川にはさまれた城下町・雨鈴宿の創始局で働く書記です。机も帳面もきちんと揃っていないと落ち着かない一方、亡き前任書記から自分宛てに遺された手紙だけは、どうしても封を切れずにいます。
ガウデンツは都から送られてきた監査役で、少しの見落としも許せないほど責任を抱え込みます。正しさを重んじるあまり人を追いつめがちですが、その胸には、かつて判断を誤って誰かを泣かせた痛みが残っています。
ほかにも、飛脚のニキフォル、細工師ヒンケ、夜番兼祓い手ジェダイア、食堂のグンナ、旅一座の看板女優ズドゥアニダらが、それぞれの弱さと温かさを抱えて関わっていきます。
ある日、名家同士の婚姻始印が突然白紙になり、雨鈴宿は騒然となります。調べを進めたガビーナたちは、十八年前の災害時に作られた仮登録名簿と、「BORN」と刻まれた封印箱の存在へたどり着きます。浮かび上がるのは、「本当の生まれ」と「今まで築いてきた暮らし」のどちらを守るのかという切実な問いでした。