あらすじ
生まれた時から、空の頭の中には「もう一つの声」が響いていた。
それは生まれる前に命を落とし、空の精神に寄生した双子の兄・海の魂。
温厚で気弱な空と、強引で暴力的な海。二人は足りない部分を補い合い、一つの肉体で「兄弟」として生きてきた。
しかし、その美しくも閉ざされた共存関係は、一人の少女・夏との出会いによって静かに狂い始める。
「優しくて穏やかなあなたも、少し強引で大人っぽいあなたも……私は『あなたたち』のことが好きなの」
夏が惹かれたのは、空の優しさと、海の見せる大人の余裕、その両方だった。
愛する人を独占したい。その強烈な嫉妬が、空の心にどす黒い殺意を芽生えさせる。