あらすじ
高校二年生に進級した由紀は、自分が一年生だと思い込んだまま自転車で高校に向かった。眼鏡をかけ忘れたため、桜が綿あめのように見える。
景色に見とれた由紀は電柱にぶつかる。電柱に向かって謝っているところに、由紀の恋人だった直樹の兄である直也が現れる。由紀は直也を直樹だと勘違いする。
由紀は直也に案内されて自分の教室に入ると、友人の春香に声をかけられ、自分が高校二年生だったことを思い出す。その日、由紀は直樹を探すが、結局、直樹に会えないまま家に帰える。そして玄関で由紀の帰りを待っていた母から、直樹が既に亡くなっていることを聞く。
翌日、登校した由紀は、春香に直樹のことを尋ねるが、春香の答えは母と同じだった。由紀は失意の中、家に帰る。
自転車を自宅の庭に停めた由紀は、直樹の家の窓から視線を感じ、衝動的に直樹の家に押しかける。そして、玄関に出てきた直也に仏壇に案内され、直樹がもういないことを認識する。
由紀は、昨日直也が直樹のフリをしたことで直也を責めるが、直也は独自の理論で自分の行為を正当化する。
なんでも、世界は生き物の数だけ存在し、直也のことを直樹だと勘違いした由紀の世界では、直樹は由紀と一緒に登校したのだという。直樹は由紀と一緒に登校することを楽しみにしていたが、一度も一緒に登校することもなくこの世を去っている。直也は兄として、直樹の考える理屈の中で、直樹の希望を叶えようとしていた。
由紀は直也の屁理屈に反発を覚えるも、その屁理屈が普段、直樹が直也に話していたことだと聞き泣き崩れる。
由紀は、自分自身の主観的な世界では確かに直樹と登校したのだと思うことにし、昨日の出来事をかみしめるのだった。