あらすじ
かつて、たった一人で国境戦を覆した男がいた。
だがその代償に、彼は知ってしまった。
――戦場では、人の命は“数”になる。
勝つために切り捨て、守るために見殺しにする。
その果てに彼は、すべてを失った。
そして誓う。
もう二度と、自分の手では戦わないと。
辺境の町で静かに暮らしていた彼――カインのもとに現れたのは、滅びを目前にした小国の使者。
人材なし。兵力不足。財政崩壊寸前。
強国に挟まれた、ただ滅びを待つだけの国。
それでも王は言う。
「宰相として、この国を救ってほしい」と。
戦わないことを条件に、その依頼を受けたカイン。
だが彼は剣を取らない。
前線にも立たない。
それでも――戦は終わる。
補給を断ち、同盟を操り、敵を内側から崩壊させる。
気づいた時には、すべてが決着している。
これは、
戦わない最強の宰相が、すべての戦争を終わらせる物語。
――そしてその裏で、彼はまだ知らない。
かつて救えなかった過去と、再び向き合うことになることを。