あらすじ
少年院から送り出された三二八号、樫 深蔭(かたぎ・みかげ)を待っていたのは、
高原の澄んだ空気の中に佇む美しき学び舎、双葉台高等養育園。
そこは、寄生生物を宿す寄生種と、彼らにその身を捧げるエサ――苗床が共生する、寄宿制の学園だった。
「俺は、ただの土だ。中身なんて最初からない」
そう割り切っていた深蔭の前に現れたのは、
盲目で、無垢で、深蔭がいなければ息をすることさえできない少年・靭(うつぼ)。
光を知らない靭に、深蔭は拙い言葉で色を、ささやかな日常を教えていく。カボチャの黄色、黒板のチョークの白さ。そして、自分がいつか食われるエサであるという事実を隠した、優しい嘘。
根は深く心臓の奥まで入り込み、やがて命を食い破る。開花の瞬間が近づくほどに、二人の境界は溶け合い、一つになっていく。
泥水の味を知る少年が、真っ白な怪物に自分を捧げるまでの、美しく汚れた共依存の記録。