あらすじ
「きみのことばにおとをあげる」
内向的な少年・直人が、教室の隅でひっそりと綴っていた未完成の物語。
その拙い言葉に「命の音」を吹き込んだのは、クラスの人気者でフルートの天才少女、結野栞だった。
放課後の図書室、夕暮れの公園、二人だけの演奏会。
言葉と音が溶け合う穏やかな日常は、いつまでも続くはずだった。
――だが、残酷な運命は、彼女のフルートから音を奪っていく。
「私、死ぬんだ。もうすぐ」
突きつけられた余命宣告。
絶望に震える彼女に、今度は直人が「言葉」を贈る番だった。
「僕が、栞の音に言葉をあげる。君の人生を、物語にするよ」
血に染まるフルート。
未完成の原稿に宿る、魂の叫び。
たとえ世界が二人を引き裂いても、共に奏でた「心」だけは消えはしない。
これは、不器用な僕たちが、命の限りに愛し、奏で、書き上げた――最期の交響曲(シンフォニー)。